先輩の声

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経済部 生田 大介 文学部社会学科卒 2001年入社

Profile

出身:東京都
東京の下町なので、人情味があるところでしょうか。

中・高・大のブカツ&サークル:
中学 / ラグビー
高校 / ラグビー
大学 / アメリカンフットボール

ひとこと:集中力がついて、よかった。

職歴・キャリア

2001年4月:入社

同年:秋田総局

2004年4月:神戸総局

2005年4月:大阪本社整理部

2006年4月:東京本社生活部

2007年4月:同 労働グループ 厚生労働省担当など

2009年4月:同 経済部 財務省担当

2010年4月:金沢総局

2012年4月:東京本社経済部民間担当

2016年5月:文化くらし報道部

入社動機

新聞記者を目指したのは、もともと文章を書いたり読んだりするのが好きだったし、社会をより良くすることに貢献できる仕事がしたいと思ったからです。朝日新聞を選んだのは、弱者の目線で記事を書く姿勢が強いと思ったことと、せっかくならできるだけ大きな舞台で働きたかったからです。

オフの過ごし方

休日は6歳の娘と0歳の息子の世話に、大半の時間を費やしています。公園に行ったり、習い事に連れて行ったりと、自分の時間はほとんどありませんが、仕事を忘れて育児をすることが気分転換にもなっています。

新入部員にひとこと

東京でも地方でも、取材をしていると、大企業だけでなく小さな企業でも、「雰囲気が良くて、みな楽しそうに働いているな」と感じる会社は少なくありません。企業規模や仕事内容も重要ですが、皆さんが自分に合う良い社風の会社に出会えることを祈っています。

経済部の民間担当として、企業の戦略や最新の動向を取材し、伝える

経済部での仕事:流通・外食業界担当として、消費者の視点も取り入れた取材を

東京本社の経済部は、大きく四つの担当に分かれています。様々な企業を取材する「民間担当」、銀行や証券会社などを取材する「金融担当」、財務省など経済関係の省庁を取材する「経済政策担当」、労働問題を取材する「労働チーム」があります。

私は「民間担当」の一員として、2013年4月からはスーパーやコンビニ、外食産業などを担当しています。企業や業界団体が開く記者会見に出席したり、記者クラブに毎日大量に配布される企業のプレスリリースをチェックしたり、関心のある問題について各社に取材に行ったりしていました。
民間担当は、企業の最先端の動きを取材できるのが魅力です。大企業のトップに取材する機会も多く、経営者らが今の消費者のニーズをどう分析し、どんな新商品やサービスを出そうとしているのか、といった話を聞くことができます。特に私が担当する業界は、例えばセブン―イレブンの商品戦略や、吉野家の価格戦略など、日頃の生活に身近な話題が多いので、興味深く取材しました。

印象に残っていること:商品の値上げか、価格戦略か?企業側の真意も伝える

日本マクドナルドの原田泳幸会長を2013年6月にインタビューしたときのことです。マックは5月に、100円のハンバーガーを120円に値上げするなどの価格改定をしましたが、各メディアがそろって「値上げ」とだけ強調して報じたことに、原田氏は会見などで不満をもらしていました。そこで、インタビューでは価格改定の意図を詳しく聞きました。ポテトやナゲットなど100円台まで値下げした商品もあり、「全体としては、値上げ幅はごくわずか。各商品の価格を小刻みな階段状に設定することで、少しでも高い商品を買ってもらうように誘導する戦略だ」という主張でした。

この戦略は説明が複雑になることもあり、メディアとしては「値上げ」という分かりやすい一言に流れてしまった面もあるのではないかと思います。私はインタビュー後も広報担当者に取材を重ね、記事では「値上げ」というだけでなく、マックの価格戦略を出来るだけ丁寧に伝えるように心がけました。

もちろん、企業にとって都合の良い言い分を書くだけではダメです。ですが、周りの報道の「空気」に流されず、取材を尽くして、出来るだけ真実に迫る姿勢も重要だと考えています。

ほっとしたこと:取材先への配慮。相手の立場に寄り添い、誠意をもって取材する

生活部などにいたとき、社会的に弱い立場にいる人たちを多く取材しました。路上で「ビッグイシュー」という雑誌を売って自立を目指すホームレスの男性や、日本で苦しい生活を続ける「中国残留孤児」の高齢女性らにじっくり話を聞いたことで、色々な影響を受けました。

例えば、生活保護世帯の子供たちを取材したときのことです。家庭環境の問題などから十分勉強できない子供が多く、高校進学率も低いのが実態でした。ある女の子に、どんな環境で育ってきたのかなどを詳しく聞きました。積極的に話したいことではないでしょうから、私なりに気を配って取材をしました。それでも、苦しい過去を聞き、匿名とはいえ記事にすることで、その子を傷つけてしまったのではないか―。記事の掲載後にそんな思いが募り、取材の窓口になってくれた人に連絡をしました。すると、女の子は、他にも取材を受けた経験があるが、「今回の取材では嫌な思いはしなかった。記事もよかった」と言ってくれたそうです。自分でこんなことを書くのはおかしいのですが、自分なりに誠実に取材したことが相手に通じて、少しほっとしたことを覚えています。

記者は、事実を伝えることが最優先で、取材先への配慮は後回しになりがちです。ですが、相手の立場にも寄り添って取材することが、結果的に良い記事につながるのではないか、という思いで今も取材をしています。

仕事上のモットー:十分に事前準備し、基礎知識を身につけて取材すること

当然のことなのですが、取材をする際には、事前にその問題についてよく勉強していくことを心がけています。

財務省を担当していたころ、「納税者番号制度」という問題について記事を書くため、専門家に話を聞きに行くことにしました。様々な論点がある複雑な問題なので、先方からは「事前に勉強してきてくれ」と言われていました。しかし、私は忙しさを言い訳に、十分な勉強をしないまま、待ち合わせの喫茶店に行きました。すると先方は、10分もしないうちに怒って帰ってしまいました。それ以来、取材の前には、関係する本や資料を読むなど、できる限り勉強していくようにしています。そうすれば、取材先もより深い内容を話してくれます。

なお、納税者番号制度については、その後多少勉強して、何本か記事を書きました。喫茶店で席を立った専門家の方も、記事を見てくれたのか、その後著作物を送ってきてくれることがあり、うれしく思ったことを覚えています。

現在の仕事:医療問題担当記者として、現場の多様な実態を取材

2016年5月に経済部から文化くらし報道部に異動し、厚生労働省の記者クラブで主に医療問題を担当しています。少子高齢化が進み、医療や介護など社会保障の質や量を保つことが難しくなるなかで、政府がどんな対策を取ろうとしているのか、が取材の大きなテーマです。

取材対象は厚労省の幹部から、政治家、医療界、製薬業界の人たちなど、多岐にわたります。政府の予算の3割以上をしめる社会保障に関する政策が決まっていく過程を、間近で取材できることが今の仕事の魅力の一つです。

とはいえ、印象に残るのはやはり現場の取材です。例えば政府は今、都心部では高齢者が急増して病院のベッドが足りなくなることなどから、できるだけ住み慣れた家で過ごす「在宅療養」を推進しています。ただ、取材するなかでは、家族やヘルパーの支えを受けて自宅で幸せそうに療養する女性がいた一方で、高齢の夫が十分に面倒を見られず、衛生状態もよくないまま自宅で過ごす女性もいました。また、東京都内の介護施設は費用がかさむため、安価な北関東の施設に移った女性を取材して、戸惑いを覚えたこともあります。不本意な思いがあるのでは、と想像していたのですが、ある程度の認知症があるとはいえ、同年代の入居者たちと本当に楽しそうに過ごしていたからです。理屈が先行しがちな政策取材ですが、今後もできる限り現場の多様な実態を取材していきたいと思っています。

これから:国の施策に焦点を当て、その課題や望ましい姿を伝えていく

将来的には、また国の政策に関する取材をしたいと思っています。過去に省庁取材を担当した経験から、国の政策が私たちの現在や将来の生活を大きく左右するということを実感しました。現在の政策に問題はないか、今後どんな政策を取ることが望ましいのか、といった取材をしたいと考えています。

今も時間があるときには、そうした分野の本を読むことはあります。ですが、それよりも、現在の担当業界の本を読んだり、担当分野のお店に行ってみたり、といったことをする方が多いです。来年どこでどんな仕事をしているかわかりませんし、あまり先のことを考えず、目の前の仕事をしっかりやることが、結果的に将来にもつながるのではないかと思っています。

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