先輩の声

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校閲センター 松本 理恵子 農学部獣医学科卒 2008年入社

Profile

出身:4歳から東京。生まれは山口県。
東京は新しいものと歴史がまざりあって、日々発見があります。

中・高・大のブカツ&サークル:
中学 / バレーボール
高校 / バレーボール
大学 / 合気道

ひとこと:体がきつくてもやり遂げられるという自信がつきました。

職歴・キャリア

2008年4月:入社

同年:東京本社 編集局 校閲センター

2014年より 北海道報道センター

入社動機

野生動物の生態に関心があり、特に哺乳類を勉強したかったので大学では獣医学を専攻。就職を考えた時、世の中のことを幅広く知りたいという思いがありました。誤植のせいで伝えたいことが正しく伝わらないことがあるのは日常生活で実感しており、誤りのない紙面にするという校閲の仕事に興味を持ちました。新聞は社会全般のできごとを扱うので、獣医で勉強したことも役立つと思いました。

オフの過ごし方

夏休みなど長めの休みがあれば旅行します。物心がついてから東京暮らしが長いので、行ったことのない場所に行き、色々な景色を見たいと思います。その土地の特産品を食べるのも楽しみです。

座右の銘・好きな言葉

「ピンチはチャンス」

新入部員にひとこと

同じ毎日、ではないところがおもしろい仕事だと思います。

わかりやすく読みやすい紙面のために。信頼を守り続ける「最後のとりで」

現在の仕事:毎日が時間との闘い。世の中すべての情報を学ぶ仕事

記者が書いた記事を読んで、誤字脱字や用語の使い方、事実関係に誤りがないか、日本語としておかしくないかなどを点検しています。また、編集者が組んだ紙面もチェックし、見出しが記事の内容とあっているか、記事の流れ方はおかしくないかなども見ます。基本的には1人で1面を担当します。

長文の記事が締め切り前のぎりぎりに出てくることも多いので、作業は時間との勝負で、毎日ジェットコースターに乗っているような気持ちになります。締め切り時間をにらみながら、優先順位を判断して間違いを正し、誤りのない紙面にするというのは難しいですが、やりがいがあります。また、新聞の記事は様々な分野にわたるので、それを校閲する側も世の中の事象にアンテナを高く張る努力が欠かせません。演劇やスポーツ、外国の文化……、見聞きして体験したこと全てが仕事で役立つかもしれないと思うと、日々の生活にも張り合いがあります。

印象に残っていること:どんなビッグニュースでも「校閲は冷静に」

校閲センターに配属されて4カ月がたった2008年9月1日に当時の福田康夫首相の突然の辞任表明会見がありました。朝刊の各面の記事もほぼ出そろい、締め切り時間も近づいた中での「首相辞任」という大ニュースで記事は全面的に差し替えに。入社して日が浅かったので、編集局内の慌ただしい空気に、新聞社で働いているのだなと改めて実感したことを覚えています。

私はその日、政治面の校閲を担当していましたが、自分の面も大変わりしたらどうしよう、対処できるだろうか、と迫る降版時間を前に浮足立ってしまいました。結局、他の面から記事が移ってくるというくらいの変更でしたが、新人の自分には一大事で、赤鉛筆で線を引きながらも中身が頭に入ってこなかった気がします。1面や2面などの総合面は文字通り紙面ががらりと変わり、新しく出た記事が殺到していましたが、先輩たちはそれを当たり前のようにさばいていました。

その後も、勤務の日に大きなニュースが飛び込んできたことは幾度かあります。以前、「周りがヒートアップしていても、そういう時こそ、校閲は冷静に」と先輩がアドバイスをくれましたが、本当にその通りで、誰でも慌てるとミスをしがちでしょう。でも校閲まで一緒になって慌ててしまっては、「最後のとりで」の役目は果たせません。バタバタしている時こそ、平常心で記事を読んでいます。

失敗したこと:社内資料での失敗経験から、第三者視点の重要性を再認識

校閲センターでは、指摘して直った事例を紹介する文書を社内向けに出しています。よくある間違いの事例を共有することで、訂正をなくすのに役立てようという目的です。
しかし、初めてそれを担当した時に固有名詞を間違えるという「訂正」を出してしまったことがあり、社内向けとはいえ苦い思い出です。訂正を出さないようにしましょうと注意を促している本人が間違えてしまったのですから……。

校閲としてだめだと落ち込んだのと同時に、書き手が読み直して確認したつもりでも、思い込みもあり見落としてしまうということがよくわかりました。校閲は第三者の目で読むことで誤りを防ぐ役割なのだと再確認しました。

必要とされる力:一歩踏み込んで、よりよい紙面を目指す根気と集中力

まず集中力です。締め切り前の時間は慌ただしいですが、それ以外にも、何回かある締め切りの最後の時まで、インターネット、辞書や関連する分野の書籍などを駆使して、記事の中身を調べ尽くします。

また、何度も何度も記事を読み直して、見落としはないか、つじつまは合っているか、記事に足りない要素はないか、配慮に欠けた表現ではないかなどにも目を配っています。これは根気のいる作業で、資料を調べたり指摘に行ったりするために席を立つ以外は、何時間も机に向かっている人が校閲センターにはたくさんいます。

「誤りがない」だけではなく、わかりにくいところはわかりやすく、一歩踏み込んでよりよい紙面を目指すのも校閲の仕事です。

これから:臨機応変に適切な表現ができる校閲者目指して

新聞社の校閲として欠かせないのが人権に配慮する視点だと、入社してからしみじみと感じています。

たとえば、特定の人や組織など、誰かを傷つける表現になっていないか。歴史的な背景を持つ言葉では、自分では気付けず周りの先輩に「差別と結びついて使われていた言葉」だと教えてもらうこともあります。

また、差別的とされる表現を機械的に言い換えるだけでは、差別の解消にはつながりません。臨機応変に適切な表現を探ることのできる校閲者になるために、人権や差別に関してもっと学ばなくてはいけないと思っています。

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