先輩の声

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文化くらし報道部 中村 靖三郎 法学研究科修了 2003年入社

Profile

出身:静岡県
豊かな自然。おおらか(?)な県民性

中・高・大のブカツ&サークル:
中学 / 陸上部
高校 / 柔道部
大学 / テニスサークル

ひとこと:仲間との出会い。

職歴・キャリア

2003年4月:入社

同年:秋田支局(現・総局) 県警担当

2006年4月:横浜総局 県警、横浜市政担当

2008年4月:東京本社編集局生活グループ(現・文化くらし報道部) 厚生労働省担当

2011年5月:仙台総局 行政担当

2013年4月:東京本社報道局文化くらし報道部(生活) 高齢者問題、厚生労働省担当

2016年5月:経済部(経済)

オフの過ごし方

最近、ダイビングを始めました。夏休みに、奄美大島の同僚を訪ね、島の魅力を満喫してきました。

新入部員にひとこと

多様な考えを、幅広く受け入れるのが朝日新聞の特徴の1つだと思います。何をしたいかがはっきりするほど、いろんなことができる会社だと思います。

社会保障制度の担当記者として、読者が知りたい情報を最前線で取材し、伝える

現在の仕事:社会保障制度の現状と今後のあり方について取材

厚生労働省の担当として、社会保障について取材しています。その中でも、所属する文化くらし報道部がカバーしているのは、年金や医療・介護、子育てなど。これらの課題について、どんな制度が作られようとしているのか、今の政策に問題はないのか、といったことについて、日々厚労省や現場に通いながら、その動きを追いかけています。

厚労省の担当になったのは2008年から。途中、東日本大震災の被災地での取材などが入り、現在で4年目になります。これまで医療や介護の公的保険制度や障害者施策、貧困問題などを取材し、現在は主に年金制度について記事を書いています。

世界でも類をみないほど急速に少子高齢化が進む中、どうしたら社会保障を維持していくことができるのか。税や保険料などの負担増が避けられない中、どうしたら公平な支えあいの仕組みを作っていけるのか。直面している課題は、どれも簡単に答えが出るものではありません。あらゆる人の生活に直結する問題でもあり、記事の書き方について、様々な立場の読者の方から反響があり、批判されることもあります。ただ、避けては通れない社会保障改革がどう進んでいくのかについて、最前線の動きを目の当りにしながら、「どうしたらいいのか」を真剣に向き合って考える。そんなやりがいを感じられる仕事だと思います。

使命を感じていること:年間企画「認知症とわたしたち」に取り組む中で・・・

生活面で連載している年間企画「認知症とわたしたち」の取材班のメンバーの一人として、認知症の人と支える家族、支援者たちを取材する機会を得ました。65歳以上の15%、約462万人が認知症と推計される現在。「誰にとってもひとごとではない」。そんな思いから、実名で思いを語って下さる方を探すことから取材は始まりました。ただ、それは簡単なことではありませんでした。何度も壁にぶつかりながら、取材先に足を運びました。しかし、それから、記事が出るたびに、その反響は大きく、「何か役に立つことがあれば」と、全国からたくさんの声を寄せて頂くようになりました。そこには、厳しく深刻な現状がつづられていました。私自身、企画の取材をする前にも、認知症についての記事を書くことがありましたが、いかに表面的な部分だけしか見ていなかったかを痛感させられました。苦悩しながらも、サポートしてくれる人たちに出会い、「寄り添ってくれる人がいたら、進行をゆっくりにできる」と話してくれた認知症の女性。一方で、介護で限界に追い込まれているという家族の叫び。どちらも、今の現実です。記事を通して、何を伝えていくことができるのか、悩みがなくなることはありませんが、表面的な情報ではなく、日々の暮らしの中にある現実に、少しでも迫れる努力をし続けなければと感じています。

大切にしたいこと:漁師、警察官、尊敬できる魅力的な人たちとの出会い

東日本大震災の後、宮城県で約1年間、被災地の取材にあたりました。赴任中、最も多くの犠牲者が出た石巻市で、1人の漁師の男性に出会いました。60戸ほどあった集落は、1軒を除きすべて津波にのみこまれていました。多くの人が故郷を離れる中、「家族を養っていけるのは漁しかない」と、先頭にたって、地元の復興に駆け回っていました。廃校を余儀なくされた母校の小学校は、「せめて子どもたちには、きれいな校舎で閉校式を」と働き掛け、全国から片付けに集まったボランティア1人1人に、頭を下げていました。仮設住宅に泊めてくれ、深夜まで故郷への思いを話してくれました。異動で宮城を離れた後も、「石川県の人に、津波で流された獅子頭を作ってもらえることになった」と嬉しそうに連絡をくれました。あまりに大きな被害を目の当たりにしたからこそ、その「強さ」に圧倒されました。

取材を通して、いろんな人と出会えるのが、この仕事の最大の魅力だと日々、感じています。駆け出しのころお世話になった警察官の人とは、今でも連絡をとりあっています。職業や立場は様々でも、多くの魅力的な尊敬できる人たちと出会えることによって、自分の成長につながっていると感じています。

仕事上のモットー:取材対象者の「本音」や「真実」にたどり着き、「正確」な記事を書くこと

「正確」な記事を書くことを心がけています。間違ったことを書かないのは当然ですが、どうやったらより真実に近づけるか、どうしたら本当の思いに迫れるか、を常に考えて仕事にあたろうと努めています。ただ表面的に話を聞いたり、一部の人に取材するだけでも記事は書けるかもしれませんが、何度も足を運んだり、長時間にわたって向き合ったりすることで、初めて聞くことができる「本音」があります。取材先と信頼関係を築いていく中で、「本音」や「真実」にたどり着けたときの醍醐味はかけがえのないものです。と言いながら、日々、時間に追われながら、そこまでとことん取材できたと言えるような体験は、これまでも本当にわずかしかありません。それでも、記事が出た後、取材で話しを聞かせて下さった方から、「一番、正確に書いてくれた」と言葉をかけてもらえたときは、何よりうれしいです。

これから:公的年金制度の未来のために「財政検証」をしっかりと報道する

当面の目標は、2014年に予定されている年金制度の「財政検証」をしっかりと報道することです。これは、政府が年金について5年に一度、長期的な見通しを立てて財政の健全性をチェックするものです。国民年金の保険料納付率は6割を切り、特に若い世代を中心に「年金不信」が広まっていると言われます。でも、老後の生活を保障するため公的年金は不可欠な制度。いたずらに不信感をあおるのでなく、問題を見極めながら、どうしていったらいいのか、という議論につながるような報道ができるよう、取材に励みたいと思います。

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