先輩の声

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千葉総局 真海 喬生 生命農学研究科修了 2010年入社

Profile

出身:山口県
山と海。おいしい魚。

中・高・大のブカツ&サークル:
中学 / サッカー
高校 / 文化祭実行委員
大学 / 分子生物学の研究

ひとこと:大学、大学院では分子生物学を研究していました。特に大学院時代は、朝から晩まで、時には土日も使って研究生活に明け暮れていました。残念ながら研究ではなんの成果も上げていませんが、一つのことに熱中した経験、一緒に研究した仲間は大きな財産です。

職歴・キャリア

2010年4月:入社

同年:地域報道部(東京総局など) 北区、スポーツ担当

2011年2月:地域報道部(甲府総局) 事件、事故担当

2013年4月:地域報道部(千葉総局) 事件、事故担当

2014年より 経済部(経済)

入社動機

記者の仕事なら、自分の感じた喜怒哀楽のすべてが仕事になると思ったからです。挫折も、成功も、時にはコンプレックスも、すべてが記事を書く独自の視点になり、糧になると思います。朝日新聞は、記事の内容が多種多様で活躍の場が広いと思い、志望しました。

オフの過ごし方

読書と料理。

座右の銘・好きな言葉

「地道が近道」

新入部員にひとこと

私は理系の院卒で、本当に採用してもらえるのか、半信半疑でした。しかし入社すれば、一風変わった経歴の方が相当数いました。どうやら、かなり懐の深い会社のようです。朝日新聞社に限りませんが、あまり構えすぎず、無理せず、自然なかたちで就職活動してみて下さい。

世の中には自分の知らない世界があまりにも多いその世界をのぞき見て「読まれる記事」を書きたい

総局での仕事:事件、事故の背景も取材し、より深い記事が書けるよう努める

千葉県内の事件や事故、裁判を担当していました。事件や事故があれば、実際に現場に行って取材するほか、警察や消防、自治体を取材し、できる限り情報を集め、記事を書きます。取材から執筆まで、すべてを1人でやることはできないので、同僚と頻繁に連絡を取り合いながらチームで取材します。全体状況の把握と同時に、事件、事故の起きた理由や背景も取材し、常により深い記事が書けないか考えるようにしています。第一報を伝えることも重要ですが、背景を探ることの方がより重要だと思います。背景取材は、第一報のための取材より何倍も労力がかかり、忍耐力が必要ですが、記事にできた時の充実感も大きいです。

忘れられないこと:笹子トンネルの天井板の崩落事故、組織力を発揮して情報を伝える

前任地の甲府総局で事件、事故を担当していた2012年12月、山梨県で笹子トンネルの天井板が崩落して車3台が押しつぶされ、9人が亡くなる事故が起きました。事故は午前8時すぎに起こりましたが、「天井板が崩落」「車3台押しつぶされる」「9人が死亡」という事故の概要がわかったのは、翌日未明になってからです。火災が発生したほか二次災害の危険があって消防隊がトンネル内に入れず、消防、警察、トンネルを管理する中日本高速道路、記者の間で情報が錯綜しました。情報が錯綜した中で、紙面を作るのは容易ではありません。しかし、発生からまもなく、東京本社や近隣の総局から記者が駆けつけたほか、名古屋本社の記者が中日本高速道路を取材。次々に紙面ができていきました。感じたのは、朝日新聞の組織としての力です。私たち山梨の記者は、普段担当していた当局などへの取材に専念できました。

仕事上のモットー:自分の心が動いたことがニュースだと思うこと

自分の心が動いたことがニュースだと思うことです。ある殺人事件の裁判で、娘を殺された父親が、被害者参加制度を利用し、法廷で意見を述べました。父親が立つ証言台の数メートル横には、自分の娘を殺した被告人がいます。父親は裁判官、裁判員に向かい、自分や家族と、殺された娘の思い出を話していきます。はじめは準備したメモを淡々と読み上げていましたが、だんだんと感情が入り、メモを振り上げ、証言台をたたき、声が大きくなります。そのうち、横にいる被告人に向かって、涙ながらに話しはじめます。すると、裁判が始まってからずっとうつむいていた被告人が初めて顔を上げ、父親の目を見つめました。父親が「初めて目を合わせてくれたね」と話しかけると、被告人が「申し訳ありませんでした」と泣きながら頭を下げました。父親がうなずくと、今度は2人が握手をしようとしました。裁判長らが止めて、実際には握手はしませんでしたが、被害者の父親と被告人のやりとりに、一部の裁判員や検察官、弁護人、傍聴人も泣いていました。閉廷して会社へ戻ってデスクと話し、この場面を記事にしました。当初予定していたのは検察側の求刑の記事だけでしたが、自分の心が動いたことは、きっと読者の心も動かすはず。予定や先入観にとらわれず、自分がどう思ったか、を常に考えるよう心がけています。

現在の仕事:経済部で注目の話題だけでなく、自身が大切だと思うことも記事に

経済部で、総務省や通信会社、日本郵政グループなどを担当しています。

2015年春、総務省で開かれていたある有識者会議に興味を持ちました。それは、携帯電話が発する電波が、ペースメーカーなど医療機器に与える影響を評価し、指針を決める会議で、この指針に基づき、鉄道会社は電車の優先席付近での「携帯の電源オフ」を求めています。

会議をのぞくと、誤作動を防ぐため携帯電話とペースメーカーを15センチ以上離す、といういまの指針について、「現実では誤作動は起こりえず、患者の不安をあおっているだけ」「誤作動の可能性がゼロとは言えないので、絶対安全な距離をとることは必要」など有識者の間で激論が交わされていました。他社はまったく取材していない会議でしたが、患者さんはもちろん、電車を使う全員に関わる問題です。すぐに有識者や総務省への取材を始めました。結局、総務省は指針に「実際に影響するとは限らない」という文言を盛り込む方針を決めました。事実上、誤作動が起こる可能性が極めて低いことを認めたものです。患者さんや鉄道会社を取材して、記事にしました。数カ月後、関東や名古屋、福岡の鉄道会社が次々に、「混雑していなければ」という条件つきで、優先席付近での携帯電話使用ルールを緩和。いま、携帯の電源オフを求める電車内の貼り紙を見ると、「混雑時には」という一言が加わっています。

注目されている話題をしっかりと取材することはもちろん重要ですが、自分が大事だと思ったことを取材して記事にできる、記者の醍醐味を味わえた経験でした。

これから:独自の記事を書けるように、見聞を広げる

今後の目標は、もっと独自の記事を書けるようになることです。普段の仕事をやりながら、時間を見つけて、「へ~」や、できれば「え~!」という記事を書きたいと思っています。そのために、もっといろんな方と知り合い、見分を広げようとしています。記者になって、世の中には自分の知らない世界があまりにも多いことを知りました。いろいろな世界をのぞき見て、「読まれる記事」を書きたいと思っています。

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