先輩の声

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特別報道部 月舘 彩子 保健学研究科修了 2005年入社

Profile

出身:静岡県
気候が温暖なためか、人が皆おおらかなところ。

中・高・大のブカツ&サークル:
中学 / 陸上部
高校 / 陸上部
大学 / バスケットボール、トライアスロン

ひとこと:今も続く大切な仲間をえられたのはもちろんのこと、基礎的な体力と多少の忍耐力がつきました。

職歴・キャリア

2005年4月:入社

同年:地域報道部 新潟総局

2007年9月:地域報道部 津総局

2010年4月:東京本社 報道局 科学医療部

2013年4月:東京本社 報道局 特別報道部

2015年4月:名古屋本社 編集局 報道センター(社会)

入社動機

子どもの頃からずっと朝日新聞を読んできたから、新聞記者になりたいと思ってからずっと目指していました。社内は先輩後輩関係無く自由に議論できる雰囲気だと聞いたことも魅力でした。

オフの過ごし方

食べることが大好きで、休日はおいしいお店を探し歩いています。気付いたら、スマートフォンには、今後行きたいお店の情報が200軒以上メモされていました。おいしい料理を食べ、おいしいお酒を飲めば、仕事の疲れも癒やされます!

座右の銘・好きな言葉

「一期一会」

新入部員にひとこと

自分は何がしたいのか、一生懸命考えて素直に言葉にすれば必ず何かが見えてくると思います。

常に弱い立場の人に寄り添いながら介護と医療の埋もれた問題を浮き彫りにする

特別報道部での仕事:4ヶ月もの間取材に専念。表に出にくい問題を浮き彫りに

特別報道部の記者は、ノルマも締め切りも無く、まだ表面化していない事実を追って日々取材をしています。

先日、高齢者施設で暮らす患者をまとめて医師に紹介し、その見返りに診療報酬の一部を受け取る「患者紹介ビジネス」の実態を記事にしました。患者を「売買」するという不適切なカネの流れであっても、記事にした段階では違法では無く、患者側の直接的な被害も見えにくい分、表に出にくい問題でした。それだけに、多くの人が問題だと思うに足る事実を積み上げるまでには時間がかかりました。私は異動してから4カ月間1行も記事を書かず、この問題の取材に専念しました。

埋もれている問題を記事にするには、行政側の判断に頼らず、自分たちで証拠集めをしなければなりません。取材相手に質問状を投げ捨てられたこともありますが、集中して一つの問題に取り組み、患者、医者、業者と様々な立場の人に会って話を聴けることは、この仕事の純粋な楽しさの一つです。

印象に残っていること:記者は弱者に寄り添うべき、と改めて決意した出来事

患者紹介ビジネスの取材をした時のことです。このビジネスに関与しているとみられる老人ホームに家族が入居していたという女性から話を聞きました。高齢者施設で暮らす患者さんは施設が薦める医師の診察を受けることが多く、このビジネスに組み込まれて自分たちが「売買」されていても気づいていないことがほとんどです。診療水準が落ちる恐れもありました。母親がある老人ホームに入所していたという女性の場合もそうでした。「今考えればきちんとみてもらっていなかった」と振り返ります。それでも、家族を預けているという立場から施設側には強く言えないと言います。自宅で介護できないことを負い目に感じているとも打ち明けてくれました。他に取材した家族も同様の思いを口にしました。このことで、多くの患者家族は病院や施設に対して、圧倒的に弱い立場にいることをあらためて認識しました。

患者さんの家族を取材するまでには、患者紹介ビジネスを問題視する多くの医師から実態を聞いていました。しかし、患者側の苦しい思いを聞いた時に、この思いにつけ込んでもうけに走る業者や医師は許せないと感じました。私たちは、弱い立場の人たちに寄り添って行かなければならないという決意を新たにしました。

忘れられないこと:取材で出会う人にとって、その一瞬が大切であること

科学医療部に在籍していた時、全国のチーム医療に力を入れる病院を取材して連載をしました。掲載から1年半が過ぎた頃、当時取材をした患者さんの息子さんから「父が亡くなりました」と電話がありました。掲載当時、この方は海外勤務で父親が新聞に掲載されていたことを知らなかったと言います。遺品を整理していて、父の日記と当時の記事を見て、電話を下さったのです。連載の写真が父親の最後の写真になったといいます。「私は親不孝ばかりで、もっと父親といろんな話をしていればと後悔しています。でも、この写真を見て、これからがんばっていかなければと、すごく勇気づけられました。宝物にしたいと思っています」と、話してくれました。

日々取材をしていると、患者、医師、政治家など色々な人に出会います。その一つひとつの瞬間が相手の人生の大事な一場面だということを、あらためて教えてもらいました。この気持ちを忘れないように、時々この記事を読み返しています。

現在の仕事:名古屋本社報道センターで、科学と医療分野を担当

新聞社には新聞を発行している4つの本社があります。私は2015年4月から、そのうちの1つ、名古屋本社にある報道センターに所属し、科学と医療の話題を中心に取材しています。

主な取材エリアである愛知、岐阜、三重の3県は自動車産業などの「ものづくり」で知られ、ノーベル賞受賞者が多く輩出する名古屋大学もあり、最先端の技術や研究を取材する機会に恵まれています。

どんな取材もそうですが、例えば一言で研究の取材と言っても幅広い分野、様々な年代、様々な背景、考え方を持った人に話を聞くことができます。あるノーベル賞受賞者からは、まだ成果が表れていなかった大学院生の頃から「研究成果を世の中に使ってもらいたいと思うようになった」と聞きました。人の行動の源にはみな様々な信念、思いがあります。人に会い、事実を取材しながら、その思いに触れる時の感動が記者の仕事の一番の魅力です。

LEDや自動運転など、私が取材に携わっている分野では、技術が想像を超えるスピードで革新され、社会に広まっています。時代の変化を捉えながら、それを支える人の思いも伝えていけたらと思っています。

仕事上のモットー:事前に考えた質問事項にとらわれず、相手の表情、言い回しを逃さない

質問項目は事前に考えるけれど、それにとらわれすぎないようにしています。「聞き忘れてはいけない」と、質問項目をメモにして取材ノートに張り付けて行きます。しかし、それにとらわて「あれも聞かなくちゃ、これも忘れてないかな」と気にしすぎていると、取材相手が話しているときの表情やかすかな言い回しの変化を逃してしまうことがあります。

取材を終え、ノートを閉じてから部屋を出るまでの雑談で「そう言えばこんなことがあってね」と取材のきっかけになる面白い話を聞くことは何度もありました。自分の頭で想像している以上に面白いことが、現実にはたくさんあるということだと思っています。意識的に雑談もするようにしています。ただ、そのさじ加減が難しく、相手のペースに飲まれて取材の時間が無くなってしまうこともあり、まだまだ修行が必要です。

これから:海外での取材も視野に入れ、英語を勉強

海外取材や留学。恥ずかしい話ですが、英語が苦手で海外取材に臆してしまう側面があります。今は電話だけでなくメールでもすぐに世界中の人に取材ができます。これまで医療関連の取材をすることが多く、辞書を引きながらおそるおそるメールを送ったことは何度かありますが、やはり現地で人と会って話をしたいと思っています。

そのために今さらながら英語の参考書を購入して少しずつ勉強をしているところです。

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