Digital Growth Operation 朝デジを育てる仕事
国内有数のニュースサイト&アプリの朝日新聞デジタルを、より多くのユーザーに届けたい。もっと快適に楽しめるようにしたい。そんな思いを持って、裏側から朝デジを支え、育てる仕事を紹介します。
「読む」から広がるユーザー体験
朝日新聞デジタルは、国内外各地の記者が取材したさまざまな分野のニュースをお届けするニュースサイトです。サブスクリプションで三つのコースがあり、ニュースを読むだけにとどまらない、有料会員向けのサービスを備えています。
読者とつながる「記者フォロー」
2024年6月リリースの記者フォローは、気に入った記事の筆者をフォローすると、その記者が書いた新しい記事や、イベントの出演情報、注目した記事、つぶやきなどを、タイムライン上で見られるというものです。さらに、一部の記者を対象に、読者のみなさまから直接おたよりを送る機能も加わりました。
ニュースに補助線「コメントプラス」
このニュースをどう受け止めればいいのかなと、戸惑うことはありませんか。コメントプラスには、各分野の専門家や取材経験の豊かな記者、計170人以上が参加。「こんな見方もできる」とか「実はこういう背景もあって」といった観点で補助線を引いてくれるものです。
シェアも保存も
ほかにも、24時間有効なURLを発行して、有料会員以外の方にも記事をシェアできる「プレゼント」機能、気になるワードを登録しておくと、記事を保存できる「スクラップブック」、その言葉が含まれる記事が表示される「MYキーワード」、閲覧履歴に応じて記事をおすすめしてくれるアプリ版の「レコメンド機能」などがあります。詳しくはこちらから。
紙面のイメージをスマホでも
新聞紙面は、編集者がニュースの価値を判断した上でレイアウトされています。そのため、記事の大きさや位置で重要性が一目でわかり、ジャンルをまたいで重要なニュースを一覧できるという大きなメリットがあります。WEBと違い、自分が興味を持っていなかった話題が自然に目に入るのもよいところです。そんな紙面をスマホやタブレットで見られる「紙面ビューアー」というアプリもあります。
朝デジを支える組織
朝デジを開発・運営しているのが、朝デジ事業センターです。より多くの人に届けられるよう、商品やコースの設計をしたり、ユーザーの動向を調査分析したりするビジネスサイドの仕事と、良質なコンテンツがスムーズに届くようにシステムやデザインをアップデートする技術面の仕事、大きく二つの役割があります。
朝デジをもっと認知してもらうこと、多くの方に有料会員になっていただくこと、また、有料会員になってくださった方の継続がミッションです。新規会員獲得のためのキャンペーン、有料会員向けイベントの企画・運営、どんな方が朝デジと親和性がありそうかなどを探る読者層分析などをしています。(戦略部・福尾優希)
WEBでもアプリでもユーザーが快適にニュースを読めるよう、UIや機能の改善をこまめに実施すること、お金を払う価値のあるニュースサイトとは何かを常に考えつくっていくことがミッションです。サイトやアプリの保守・改善のほか、新たなニーズを汲み実装することもわたしの仕事です。(開発部・新山敬太)
官公庁や企業、教育現場向けのセールスを展開し、法人契約を増やすことが大きなミッションです。現在は地域ごとのプロモーションにも力を入れており、わたしは北海道での有料会員獲得や維持、朝デジの認知度向上、紙面の購読者にデジタル版も読んでもらう戦略などを担っています。(法人営業部・原田莉奈)
リニューアルプロジェクト
変化の激しい時代に、もっと愛される朝デジに。これから数年かけてさらに進化します。プロジェクトマネジャーの包直也さんにその狙いを聞きました。
権威で売る時代は終わった
紙の新聞の購読者は減り続けています。でも、実は成功するために必要な要素が新聞社には備わっています。まず、朝日新聞綱領のような、常に立ち返ることができる明確なビジョンがある。そして、記事をはじめ膨大なコンテンツが眠っている。さらに、優秀な人材と、デジタル投資のモダンさ。これがベースにあれば、朝日新聞デジタルというプロダクトの力で日本のジャーナリズムに貢献できると思い転職してきました。
朝日新聞には今、約1700人の記者や編集者がいます。国内外で一次情報にアクセスできる記者をこれほど抱えた組織はそんなにありません。システムの開発体制も整っています。昔から蓄積されたコンテンツを活用しつつ、モダンなものをつくれる環境があります。朝日新聞がどこに向かおうとしているのかを整理し、情報やそれを発信する新聞社の価値を議論をしながら、朝デジのリニューアルを進めています。
包 直也(つつみ・なおや) スタートアップ2社(マーケティングの分析事業をする会社、冷凍パンをサブスクで売る会社)の立ち上げからグロースを計15年経験。情報がタコ壺化し社会が分断されている現状を憂い、ジャーナリズムに貢献したいと2022年11月に朝日新聞社へ。入社まもなく朝デジリニューアルのプロジェクトマネジャーに抜擢された。
新しい信頼のつくりかた
一方で、どう信頼されるか、というところは時代に合わせて変わっていく必要があります。これまでは、夏目漱石がいて、石川啄木がいてという歴史だったり、権威的なもので信頼されてきた部分があったと思います。このSNSの時代には、なぜその事実が起こっていて、どういう取材をして、どんな思いを持って届けているか、という透明性が信頼につながるのではないか。そんなふうに考えています。
硬い話題だけじゃなくて、もうちょっとわかりやすく、やさしく伝わり、読むことが習慣化される仕組みがあって、身近に感じるから信頼できる。そんなふうに持っていければ、朝日新聞社の持つ価値をもっと届けられるのではないかという仮説を持っています。
朝デジリニューアルのめざす姿の一つは、朝日新聞がコミュニティーになっていく、ということです(イメージ図)。
現状は、記者は社会に対してつながっているけど、記者の顔は見えない。双方向性があるページもありますが、多くの記事は「朝日新聞」の情報、と受け取られてきました。これからは、どういう顔の記者が、どういう気持ちで、どんなプロセスを経て記事を書いてるのかが見えて、読者が記者とつながることで社会と向き合っていけたらいいのかなと思います。
それによって社会にある課題や問題に対して読者が「なにが動かせるんじゃないか」という期待感を持てたり、そういうかたちで社会と向き合っていくようなコミュニティーに朝日新聞がなったらいいですね。
ガザに届いた読者の声
6月にリリースした記者フォローの機能は、一般のサービスにはよくあるものです。ただ、今までの新聞社はこういうモデルでやってきませんでした。
たとえば、朝日新聞の通信員としてガザで取材しているマンスールさんと、エルサレム特派員の高久(たかく)潤さんのやりとりが「GAZA365」というコンテンツになっています。記者をフォローするとお便りを送れる機能があるのですが、高久さんにメッセージすれば、訳してマンスール通信員にも届けられます。
実際、多くの読者からお便りが届けられ、双方向のコミュニケーションが生まれています(画像はマンスールさんからのメッセージ。画像をクリックするとコンテンツにジャンプします)。
現地にいる人たちと読者がコミュニケーションをとれるようになったことで、情報を一方通行で届けていたときよりも、考えるきっかけのようなものを提供できているのかなと思っています。
まだ詳細はお話しできませんが、これからも朝デジリニューアルを通して、情報の伝え方やプロセスを変えていこうと思っています。新卒もキャリア採用も関係なく、一緒に同じ方向をめざして働ける環境もあります。朝日新聞、けっこう楽しいですよ。