Message 先輩メッセージ

AI規制、気候変動、移民・難民…
グローバルな課題解決の最前線伝える

牛尾 梓/ USHIO AZUSA

所属部署国際報道部 ヨーロッパ総局

入社年 / 専攻2008年入社 / 国際総合学類卒

現在の仕事
EUを担当 政策決定のダイナミズムを追う

ベルギーのブリュッセルを拠点に、ヨーロッパ各地で取材しています。主な担当は、欧州連合(EU)。「ブリュッセル効果」と呼ばれるように、先進的な規制をつくり、「世界のルールメーカー」として影響力を高めていくEUの戦略を日々取材しています。2024年5月には、世界で初めて包括的にAIを規制する「AI法」が成立。気候変動や移民・難民など、時代を先取った政策を次々と打ち出す過程を目の当たりにすると、ダイナミズムを感じます。ほかには、欧州で台頭する右翼やポピュリスト政党を追っています。(写真は欧州議会選挙時の様子)

印象に残っていること
戦時下のウクライナで「おくりびと」を取材

2022年にロシアによる全面侵攻が始まったウクライナでの取材です。ちょうど侵攻から1年の節目に、首都キーウと西部の街リビウを訪れました。特にリビウは、東部や南部の激戦地で命を落とした兵士の亡きがらが連日帰り着く街で、そこで取材した「おくりびと」が印象に残っています。「死に化粧」が一般的ではないウクライナで、せめて棺を開けて遺族と最後のお別れをさせてあげたいと、ボランティアで化粧を施す検視官に話を聞きながら、涙が止まりませんでした。

ウクライナ、戦場の「おくりびと」 化粧筆握り、向き合う兵士の死

MY CAREER HISTORY私のキャリアヒストリー

2008 / 04

入社 盛岡総局 [1年目]

事件、高校野球、盛岡市政を担当。3年目の異動直前に東日本大震災が発生し、その日から沿岸の被災地を取材

2011/ 05

前橋総局 [4年目]

県政を担当。民主党政権下で建設中止が発表された八ツ場ダムの問題や、隣接する福島県から原発事故で飛散した放射性物質問題などを取材

2013 / 04

東京本社 編集センター(現・コンテンツ編成本部) [6年目]

ニュースの価値判断をし、見出しをつけたり、記事をレイアウトしたりする紙面編集の仕事を経験

2014 / 04

東京本社 社会部 [7年目]

警視庁所轄(警察署)、遊軍、リオデジャネイロ五輪・パラリンピックなどを担当

2017 / 04

東京本社 経済部 [10年目]

流通・小売り業界、IT・AIなどの分野を担当

2020 / 04

東京本社 特別報道部 [13年目]

データジャーナリズムを担当

2021 / 04

東京本社 デジタル機動報道部(現・デジタル企画報道部) [14年目]

引き続きデータジャーナリズムを担当。チームで取り組んだ連載「東京の限界集落 エイジングニッポン」では、23区の町丁目ごとの高齢化率をデータ分析し、現場取材を交えて実情を伝えた。朝日新聞デジタルでは、町丁目で検索し、20年の推移を閲覧できる

2022 / 09

東京本社 国際報道部 [15年目]

引き続きデジタル機動報道部を兼務しながら、国際報道部で内勤を担当。23年2~3月には、ロシアによる侵攻から1年を迎えたウクライナを取材した。写真は23年2月24日配信の「奪われたウクライナの『光』 衛星写真が語る、侵攻の影と破壊の爪痕」から。侵攻前後の街の様子を見比べられる

2023 / 10

ヨーロッパ総局に赴任 [16年目]

就活生のみなさんから「海外特派員になるのは、どういう人ですか?」などの質問をよくいただきます。牛尾さんに聞いてみました。

 

Q.ずっと特派員を志望していたのですか?

志望していました。とはいえ、特に地方総局時代は海外の「か」の字も無いドメスティックな取材ばかりをしていたので、思いが揺らいだ時期もありました。しかし、今思えば記者としての「引き出し」が増え、海外でどういう取材がしたいかを具体的に考える貴重な時間だったと思っています。

 

Q.英語はどこで勉強しましたか。ヨーロッパ総局員に求められる英語力は?

大学時代に米国に留学し、それ以降は海外メディアのニュースを読んだり、英語字幕で英語の映画を見たりして、細々と英語力を維持していました。欧州総局のあるブリュッセルはフランス語圏ですが、仕事は全て英語です。ただ、非英語圏の人たちが使う英語なので、「EU英語」とも言われる独特の言い回しに苦労することも多いです。

 

Q.特派員に必要な力や技能は、語学以外にどんなことがありますか?

強いて言えば「諦めない心」でしょうか。海外での取材は、日本国内以上に思い通りにいかないことが多いです。日本メディアの取材を受けることにメリットを感じない人も少なくありません。そこで、相手に熱意を伝え続ける、プランB、Cと常に次善策を準備しておくなど、「諦めない心」が大事だと感じています。

 

Q.赴任してみて、驚いたこと、大変なことは?

仕事以前に、生活することの大変さを日々感じています。日本では考えられないような家の故障が起きたり、それを直すにも信じられないほど時間がかかったり…と、仕事以外に気持ちを振り向けなければいけないことが多くて、正直疲れることがあります。ただこちらの人たちは、「それが当たり前」とどっしり構えているので、「日本基準」のせかせかした気持ちは一旦封印しています。

 

Q.一日のスケジュールを教えてください

8:30(日本時間16:30、サマータイム中は15:30) 自宅でまず、日本のデスクと朝刊に向けたやりとりをします。11:00ごろに出社。12:00から、EU・欧州委員会の定例ブリーフィングに出席します。昼食は会社近くのパン屋でサンドウィッチを買うか、自宅からおにぎりを持って行くことが多いです。15:00、欧州議会議員やEUの報道官などにインタビュー。その後、翌日の夕刊やデジタル配信に向けて、会社で原稿を書きます。19:30ごろ帰宅。

日によってスケジュールは違いますが、取材をして必要に応じて出稿するという仕事の基本は、日本にいるときと変わりません。

ウクライナ西部の街リビウで、取材させていただいた負傷兵の方と

入社動機

大学時代、留学先の米国で通信社のインターンに参加して、記者の仕事に関心を持ちました。時代の「半歩先」が見られるワクワク感があり、様々な人にお話を伺うことで自分自身を成長させられる仕事だと感じました。朝日新聞は昔から実家で購読していて、採用試験のときに、社員同士がとてもフラットな印象を受けたため志望しました。

オフの過ごし方

日本では、社会人2年目の時に始めたフラメンコ教室に通っていました。その習い事を通じて知り合った友人と一緒に舞台を見に行ったり、発表会に向けた練習(という名目の飲み会)をしたり、仕事から完全に離れる時間を大切にしています。ブリュッセルに来てからは、自宅の周りに公園が多いので、のんびり散歩に行くことが多いです。

みなさんへのメッセージ

やりたいことを、自由に挑戦させてくれる朝日新聞の雰囲気が好きです。あれこれアイデアをもった学生のみなさん、ぜひ入社して挑戦してみてください。応援しています!

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