Journalist 記者部門
記者・映像報道記者
だれもが発信の手段を持ち、AIが文章を書くことが当たり前になりつつある今、ジャーナリストの役目はなんでしょうか。AIは、すでにある情報をまとめるのは得意ですが、「予兆」をつかんだり、「なんかおかしいな」という違和感からニュースを掘り起こしたりすることはできません。
事故や災害が起きたとき、最初にその様子を伝えるのは、近くにいた人のSNSかもしれません。でも、その人が原因や背景を探ったり、その後も状況を追い続けることは困難です。どうすれば避けられたのか、法律や制度にほころびはなかったか。そうしたことを考え、調べ続ける仕事は、これからもなくならないと考えます。
記者の取材拠点は、国内すべての都道府県と、海外各地にあります。部署の垣根を超えてチームを組み、調査報道やデータジャーナリズムに取り組む機会も増えています。自らの問題意識をもとに、または持ち寄って仕事に取り組める環境があります。映像報道記者は、記者の取材に同行して撮影するほか、独自に企画して記事を書くこともあります。ジェット機・ヘリコプターからの空撮や、ドローンを使った撮影もします。
社員紹介
各地の総局や報道センターで活躍中の記者たちが、仕事をしながら考えたことをつづります。初回は神戸総局の宮坂奈津さん。随時アップします。
編集者・校閲記者・デザイナー
編集者は、記事に見出しをつけたり、配信のタイミングを考えたり、新聞紙面の構成を考えたりして、世の中に「送り出す」部分を担います。デジタルコンテンツの企画・取材・監修などディレクションにあたる人もいます。
校閲記者は、誤字・脱字など言葉の間違いだけでなく、内容の事実関係、整合性、誰かを傷つける表現でないか、などをチェックします。限られた持ち時間の中で、信頼できるソースにあたりながら、できる限り正しい情報を送り出すことに努めています。
デザイナーのミッションは、ニュースをわかりやすくビジュアル化することです。地図、インフォグラフィック、イラスト、ロゴ、コラージュ、漫画、3DCGといったさまざまな表現を使います。部内のエンジニアとも協力して、Webコンテンツをつくることにも力を入れています。
社員紹介
航空部
朝日新聞社は小型ジェット機「あすか」と、ヘリコプター4機(「あさどり」「はやどり」「ゆめどり」「あかつき」)を持っています。大きな事故や災害が起きると、映像報道部員や記者を乗せてかけつけます。羽田、伊丹、福岡の3空港に基地があり、パイロットのほか、整備士資格を持つ社員が活躍しています。
キャリアパス
記者はまず東京本社以外の取材拠点(首都圏、近畿など)で勤務します。読者との距離が比較的近いところで、幅広いテーマを取材します。経験を重ねながら得意分野を見つけ、5年目に本社に異動します。社の戦略などにより、今後は変わる可能性もあります。
編集局長メッセージ
朝日新聞ゼネラルエディター/編集局長の春日芳晃です。私たち朝日新聞の編集部門は、以下の報道をめざしています。
-公権力を監視し、隠された「不都合な事実」などを明らかにし、読者に届ける
-社会に生じている課題をみつめ、可視化して、解決策を提示・提案する
-複雑化する社会を読み解くための深い考察を届ける
-自由で公正な言論を守り、届け、社会の分断を防ぐ
-多様な価値観が認められ、ひとり一人が生きやすい社会になるための報道をする
-日々の暮らしのなかで、ささやかでも幸せを感じられる情報を届ける
私は、読者へ届ける工夫を進化させ、「社会から必要とされる朝日新聞」であり続けたいと心から願っています。そのうえで、特に大切にしたいことが二つあります。
一つは、「読者が朝日新聞の報道に求めていることを常に考え、応えていくこと」です。その積み重ねによってでしか、私たちは読者の信頼を得られないと考えます。もう一つは、朝日新聞綱領です。日本が戦後の占領から独立を回復した1952年、先輩方が制定しました。70年以上を経ても変わることのないモラル・コンパス(倫理基準)です。
急激に変化するデジタル時代に適応し、ジャーナリズムを全うする道のりは、試行錯誤の連続です。ですが、ジャーナリズムを志して朝日新聞に入った仲間が声をかけ合い、目線を合わせれば、どんな高い山でも登頂ルートは見えてくると私は信じています。
春日 芳晃(かすが・よしあき) 鹿児島県出身。大学の学生寮で各国の留学生と生活したことをきっかけに「世界の中の日本」を意識、記者をめざす。1997年に入社。静岡、山形、大阪社会部を経て、ニューヨークとイスタンブールで特派員を経験。国際報道部長を経て、2024年4月からゼネラルエディター/編集局長を務める。